観測されない勇気 〜目的論と原因論の重ね合わせ〜
巷で話題のアドラー心理学、その代表的書籍である『嫌われる勇気』を先日購入しました。乗るしか無いこのビッグウェーブに!というには乗り遅れすぎて津波がチリで反射してもう一度日本にやってきたぐらいのタイミングですが、気にしないことにします。
実はアドラー系の本は以前から何冊か読んでおり、内容的にはおさらいな感じで読んでいるのですが、『青年』『哲人』が煽り合...議論を交わしている対話形式になっているのが面白いところですね。
アドラー心理学を知りたかったら以下のサイトが面白くておすすめです。最近良く寝付けない人は本を買ってください。
【マンガ】アドラー心理学「トラウマなんて存在しない!」 池袋/心療内科/ゆうメンタルクリニック | ゆうメンタルクリニック池袋西口院~心療内科・精神科
でまぁ幾つかアドってるポイントが有るんですが、その中で『劣等感は主観的な思い込み』を取り上げて明後日の方向にサーフィンしようと思います。
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劣等感に関して書籍の中では次の例を使っています。
哲人は155cm小柄な男性です。比較的小柄ではあるが、それに自体に劣等性はない。身長について当人がどのような意味付けを施すのかが重要である。
つまり自分が人より劣っていると思っていると思うことは、全て自分がそう思ってるからであり、解釈の仕方でどうとでもなると。
いやぁいい話です。なのでこれからみなさんもどうのこうのという意識高いブログではありません。
ここで解釈とは何かという話に立ち返ってみます。
同じ『身長155cm』という入力情報を『解釈』した結果、劣等感という出力が得られる場合と得られない場合があるということです。ここで出力の違いを産んでいるのは明らかに『解釈』プロセスです。
すると有る特定分野の情報の集合Xとそれに対応する主観的感覚の集合Yを考えた時、『解釈』とはXからYへの写像であるはずです。
さらにこれをチューリングマシンでモデル化します。チューリングマシンとはコンピュータを極力単純化したモデルで、計算の基礎的な性質を考える場合に使用します。
先に述べた『解釈』プロセスはチューリングマシンモデルでいうところの内部状態と状態遷移規則により決定されることになります。さてチューリングマシンには様々な分類が有るが、人間の脳の記憶容量は明らかに有限であるため、内部状態数は有限であるはずです。また人間とはいえ物理現象であり、また量子力学的な影響を無視できるマクロ系の活動であるから決定論的に動作します。
更に状態遷移規則は人間固有の、若しくは個人固有のものである。しかし後の議論のためここでは人間固有の演算プロセスとなるように内部状態と状態遷移数の関係を調節する。
さてこのようにモデル化することで確かに同じ入力に対して多様な解釈が可能となりました。しかしこのモデルでは決定論的アルゴリズムを使用しているため内部状態によって解釈が固定されてしまうことになります。
この事象に対してのアプローチは次のものが考えられます。
さて冒頭のアドラー心理学を支持する立場であれば1.を捨て人間の自由意志を死守したくなります。がここはあえて1.を選びなおかつ目的論が、人間の自由意志がなくならないケースについて考えます。
ポイントは『不可知性』です。
要するに人間の状態とそれに対応する行動は予め決まっているが、我々人間にはそれを知る手段がないと仮設します。それによって一意に決定できない行動の解が導出できれば、見かけの自由意志が決定論のもとでも導出できるのではないかと考えます。
次章では有限演算時間と有限メモリによる4次元情報量を求め、フレーム問題を定式化します。
(続きの記事を書くとはいっていない)